2016年5月
「人権立県香川づくり」の提言 その2
提言②:相談体制の整備・拡充
県、市町、国際交流協会等が既に設けている外国人のための相談窓口の利用状況や相談内容を精査し、外国籍住民にとって、より活用しやすい相談窓口とするべく改善する。また、県内在住の外国籍住民によるピアサポート(=当事者同士の助け合い)を活用した相談窓口や、人権相談・法律相談等の専門性の高い相談に応じるための窓口を、NPO・NGOや弁護士会等と連携しつつ整備・拡充する。
1.既存の相談窓口の改善
県、市町、国際交流協会等は、既に外国籍住民のための生活相談窓口や、人権・法律相談窓口などを設置しているが、その相談件数は決して多いとはいえない。それは、困難に直面している外国籍住民が少ないからではなく、相談窓口の存在を知らなかったり、心理的な敷居の高さを感じているからであるとも考えられる。まずは、既存の相談窓口の利用状況や相談内容に関するデータを収集し、それを分析した上で、現状の問題点を明らかにすべきである。その上で、どのような改善を図れば、外国籍住民にとって、より活用しやすい相談窓口となるのかを、外国籍住民の意見も踏まえて検討すべきである。
2.相談窓口の拡充
外国籍住民のための相談窓口があることを広く周知するとともに、外国籍住民が多く居住する地域を中心に、相談窓口の増設を図ったり、臨時相談窓口を定期的に開設したりするなど、相談に訪れやすい環境整備を行うべきである。加えて、相談に足を運ぶ際の心理的な障壁を軽減するために、県内在住の外国籍住民によるピアサポートを活用した相談体制を拡充するなど、物理的な利便性だけではなく、心理的な利便性の向上を図るべきである。また、外国籍住民を積極的に自治体職員に登用し、自治体の組織・運営の国際化を図ることも肝要である。
3.専門相談窓口やシェルターの整備
人権・法律相談窓口については、弁護士会や行政書士会と連携して、より専門的な相談に応じられる体制を整えるとともに、県内外の人権NPO・NGOと協力して、当事者の視点に立った相談ができるようにすべきである。さらに、外国人女性はDVやセクシュアル・ハラスメントといった深刻な人権侵害を被ることが多いため、そうした被害を受けた外国人女性のための相談体制の整備や、被害者を一時保護するための施設(シェルター)の確保も、NPO・NGO等と連携しつつ行っていく必要がある。
4.連絡調整組織の設置
各機関・各団体が横に手を携えた総合的・体系的な相談体制を構築するために、外国籍住民の相談に関する連絡調整組織を整備すべきである。そこには、県国際課、県国際交流協会、各市町の外国籍住民及び国際交流の担当課、高松入国管理局、香川労働局、県弁護士会、県行政書士会等を含め、随時、情報交換を行うとともに、外国人施策の向上・改善に向けた意見交換を定期的に行うべきである。