2016年7月
「人権立県香川づくり」の提言 その4
「ヘイトスピーチ対策法」(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)では、「地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、国と適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策講ずるよう努めるものとする。」(第4条)とされています。そして基本的施策として①相談体制の整備②教育の充実③啓発活動等が明記されています。そこで香川県には次のような取り組みも求めたいと思います。
提言④:外国籍住民との対話・交流事業の活性化
外国籍の人びとが、「住民」として県政に意見を述べる仕組みを整えるとともに、日本人住民と対話・交流する機会を設け、共に香川県を支えていくという意識を醸成する。
1.外国籍住民の会議体の設置
現行法では、外国籍住民には一切の選挙権が与えられていないため、外国籍住民は県政や市政・町政に対して意見を述べるチャンネルがないが、香川で暮らしているという点では、日本人も外国籍住民も「住民」に変わりはない。したがって、外国籍の人びとに対しても、「住民」として県や市町の運営に声を上げる機会を確保すべきである。この点、香川県では、外国籍住民の意見を聴取する場として、「多文化共生交流会」を実施しているが、開催されていない年もあり、また参加者もいわゆるニューカマーが中心であって、外国籍住民の声を幅広く集めているとは言いがたい。他の自治体の外国人住民会議の例に倣い、香川県においても、公募委員によって構成される外国籍住民の会議体を設け、県内に在住する外国人の意見を幅広く県政や市政・町政に反映させるべきである。また、その際には、寄せられた意見が店(たな)ざらしにされることを防ぐために、外国籍住民からの意見をどのように施策へ反映させたのかを、定期的に報告する制度を組み込むべきである。
2.対話型交流の推進
外国籍住民と日本人住民とが交流する機会として、これまで県では、瀬戸内国際芸術祭などのイベントに、外国籍住民が参画できる場をつくってきたが、こうした「イベント参加型」の交流だけではなく、外国籍住民と日本人とが恒常的に対話し、「住民」としての共通の意識を育むという「対話型」の交流を行うべきである。こうした対話を通じて、多様な意見を互いに吸収し合うことが、地域の活性化を促すことになる。また、「イベント参加型」の交流についても、それが一過性のものとなったり、あるいは外国籍住民を“お客様”として扱うだけのものにならないように注意が必要である。「イベント参加型」の交流においても、その企画・立案段階から外国籍住民と日本人住民とが共同で参画し、協力してイベントを作り上げるという対話指向型の形態にすることが望まれる。