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2012年12月

お酒と人権

 兵庫県の内陸部では昔から冬場の「酒造出稼ぎ」がさかんで、江戸時代以来、灘五郷などの酒造りを支えてきました。杜氏(とうじ)と呼ばれる酒造職人の間では、「お神酒(みき)を作る聖なる仕事」との考えから、職人から同和地区関係者を排除することが「伝統」のように続いていました。
 ようやく戦後になって憲法で出自や社会的身分による差別が禁止されたことから、1970年代に入って就労差別をなくす取り組みが始まりました。
 「灘五郷」のひとつA酒造(写真)もそんな「伝統」の中で『部落地名総鑑』(注)を購入していました。同社は社会的批判を受けて考え方を変え、現在は「兵庫県人権啓発企業連絡会」(41社)の代表幹事社をつとめるとともに社内での人権教育や公正採用(人事)、働きがいのある明るい職場づくりなどに熱心に取り組んでいます。
 また、現在は男女雇用機会均等法など関係法令によって女性差別も改善されていますが、「女人禁制」も長く続いていました。「酒造りの妨げになる」「きびしい作業だから」などの説もありますが、やはり「血のけがれ」が伝統的に言われてきました。
 今も様々な「伝統」や「習慣」が社会にありますが、良い伝統は残して合理的根拠のないものや人権侵害につながるものは見なおし、人権尊重でだれもが住みよい街づくりを進めましょう。
 
 
(注)『部落地名総鑑』 1975年、『人事極秘部落地名総鑑』という差別図書が発覚しました。
全国の同和地区名や所在地などを記載したもので、購入企業は採用差別に利用していました。これを契機に公正採用の取り組みが始まりました。
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