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今月の瓦版 (2010年5月)

子どもの人権

壺井栄と「二十四の瞳」

写真:平和の群像 (土庄港にある二十四の瞳像)
 小豆島出身の作家・壺井栄(1900~1967)は多くの児童文学作品を残していますが、中でも代表作は1952年に書いた小説『二十四の瞳』です。
1928年4月、主人公の「おなご先生」(大石先生)が瀬戸内海の寒村にある岬の分教場に赴任してきます。島名は書いていませんが、小豆島がモデルとされています。

 赴任早々、子どもたちがいたずらして先生は足をケガします。心配になった子どもたちは遠い道のりを歩いて見舞いに出かけます。これをきっかけに先生と12人の子どもたちは家族のように仲良くなります。
 
 ところが不景気の波がこの島にも押し寄せてきます。ある日、松江の姿が見えなくなります。貧困にあえぐ親が松江を奉公に出したのです。そのうち大陸では日本と中国の戦争が激化し、さらに時代は太平洋戦争へと突入していきます。・・・・
戦争が終わって先生は再び分教場に赴任します。それを祝って教え子たちが歓迎会を開いてくれました。しかし磯吉は失明し、竹一・正・仁太の3人は戦死していました。大石先生には、大切な家族や教え子たちの幸せを奪った戦争に止めようのない憤りがこみ上げてくるのです。
 
小説は1954年に高峰秀子主演で映画化され、全国に小豆島ブームをわき起こしました。1987年にも田中裕子主演で再び映画化されました。このとき撮影に使われたセットは現在「二十四の瞳映画村」となり、「壷井栄文学館」も併設されています。
この小説は発表当時、反戦平和を訴える小説として高い評価を得ました。子どもへの愛情があふれるこの作品は、平和と子どもの人権という観点からも意義深い作品といえます。
まだの方は是非一度、読んだことのある方はもう一度読見返してはいかがでしょうか。岬の分校もそのまま残っていますから訪れてみるのも良いでしょう。
 
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小説に出てくるボンネットバス
(「二十四の瞳」映画館)
映画ポスター
(「二十四の瞳」映画村)
「二十四の瞳」原稿
(壺井栄文学館)
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