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2020年4・5月

人権マガジン

部落差別の解消に向けて➀

▽新たな歴史認識と私たち
 これまで徳川幕府が被差別身分を作ったとする「近世政治起源説」が定説であったが、研究が進み、部落の起源が変わってきた。
 社会科の教科書記述では、室町時代に京都で庭園造りに従事する「河原者(かわらもの)」への意識(不思議な人・異能者)が時代を経る中で変化し、今の部落差別の底流を流れる意識につながっていると捉えられている。
 平安時代から現代まで約800年余もの間をつないできたものは何か?「人の意識」の他はあり得ない。連綿と差別のバトンをつないできたと言える。そして、私たちは、「今、そのバトン」を持っている。
 部落差別の本質は排除であり、なかまはずしの本質も排除である。身の回りにある排除の構図で起きている多様な事象、決して他人事ではない。
 
▽人権意識と法整備 
 「憲法第24条」、「香川県条例」、「部落差別解消推進法」の条例や法整備がなされていることは、残念ながら差別の現実があり人権尊重の価値観が十分に定着していない事実を示している。
 
▽差別のバトンの裏側にあるもの
①自然解消論
「そっとしておけばそのうち」という考え方だが、部落差別は自然現象でなく、人によって作られる社会問題である。自然解消論は、部落差別をなくす取組にブレーキをかける。
②部落分散論
「固まって住むから」「他所へ行けば分からない」という考え方だが、どこに居を構えるかは、本来自由である。他人事ゆえの問題解決からの逃避である。
③部落責任論
「こわいから」「問題行動を起こすから」という個人の問題を全体の批判にすり替える考え方だが、個人の問題と全体を混同した差別を正当化する誤った考え方である。
特定非営利活動法人香川人権研究所
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