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2019年9・10月

人権マガジン
子どもの人権
虐待は「芽」のうちに 気づき 相談を

児童虐待 10年で2倍以上に増加

児童相談所虐待対応件数
  2009年度 2018年度
香川県 569件 1,375件
全 国 44,211件 159,850件
 東京都目黒区や千葉県野田市などでの痛ましい子どもの虐待事件が、連日テレビや新聞などマスコミで報道されています。果たして特別な人が起こした事件なのでしょうか。
 香川県が2018年度に認知した児童虐待は1,375件、ここ10年間で2倍以上に増えています。その他にも市町が認知する事案もあり、児童虐待は深刻な状態にあると言わなければなりません。虐待被害者の年齢は小学生が37.4%で最も多く、3歳未満の幼児も18.8%あります。虐待者は実父が45.0%、実母が42.9%で、子育て世代がほぼ9割近くを占めているところに大きな特徴がみられます。虐待内容は心理的虐待が57.4%で最多、続いて身体的虐待が25.8%などです。
 虐待の認知件数が急増している理由としては、▽テレビや新聞などマスコミ報道、さらに教育や啓発活動などの影響で関心が高まったこと▽児童虐待防止法に定める国民の通報義務への理解が広がったこと▽昔なら当たり前と考えられていた言動が今では児童虐待になるというように意識が変化したこと▽法改正によって夫婦による子どもの面前でのDVも心理的虐待になって通報対象が拡大したこと、などが挙げられます。
 では児童虐待を減らし、なくすためにどうすればよいのでしょうか。

虐待の「芽」が自分の中に潜んでいないか

 「児童虐待」とは「特別に残忍な親がわが子にむごたらしいことをする」のではありません。決して他人事と思わないことが大切です。自分も子供の時に親に叩かれ暴言を吐かれた、お仕置きで押し入れに閉じ込められた、言う事を聞かずに戸外に放り出された、などの体験はありませんか。自分が親になって同じことを子どもにしていませんか。自分の中に潜む児童虐待の「芽」が極度のストレスなどから児童虐待を引き起こす事例が多く見られます。「芽」のうちに気付けば児童虐待を減らすことができます。

相談する勇気が虐待を止める

 若い世代は毎日仕事と子育てに追われています。核家族化も進んでおじいちゃんやおばあちゃんと別々に暮らす家族も増えました。保護者が児童虐待を起こす要因は単純でなく、困難に負けずに頑張っている保護者も多い一方、不安定な家庭生活環境、若年による育児不安、保護者の偏った養育観、親から受けた虐待体験などが虐待を誘発しかねません。このことから、「子育てに困ったらとにかく相談に来てください」と児童相談所は呼び掛けています。相談するあなたの勇気が虐待を食い止めます。
【相談先】香川西部児童相談所 ☎0877-24-3173(秘密厳守)
ことば
 子育ては「ほめ上手は育て上手」と言われます。子どもの良いところをしっかりと認め、ほめてあげることが大切です。これを自尊感情の育成と呼び、幼稚園や保育所などでも大変重視しています。
子どもにとって最善の措置を
■子どもの権利条約 第3条
 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
 
特定非営利活動法人香川人権研究所
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