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2019年5月

人権マガジン
壺井栄『二十四の瞳』
子どもへの限りない愛情

おなご先生と12人の子どもたち

 小豆島出身の作家・壺井栄の代表作は何と言っても小説『二十四の瞳』(1952年)です。
 1928年4月、主人公の「おなご先生」(大石先生)が自転車に乗って小豆島の岬の分教場に赴任してきます。赴任早々、先生は生徒がいたずらして掘った穴に落ちて骨折します。子どもたち12人は心配して遠い道のりを歩いて先生のお見舞いに行きます。これをきっかけに先生と子どもたちは家族のように仲良くなります。しかし、不景気が島にも押し寄せ、ある子は奉公に出てしまって学校に来なくなりました。さらに太平洋戦争が激しくなって先生は夫と子ども、三人の生徒を失ってしまいます。
 戦争が終わってしばらくたったある日、母校の教員になった早苗は先生が教壇に復帰したことを祝って歓迎会を開きます。そのとき先生はかつてのガキ大将・磯吉(ソンキ)と再会しますが、彼は戦争で失明していました。

行ってみませんか 小説の舞台へ

 小説は大人気となって1954年に木下恵介監督によって映画化されました(主演・高峰秀子)。子どもへの愛情にあふれるこの作品は全国の人々に涙と感動を与え、小説や映画を見て教員になった人も少なくありません。あなたも読んでみませんか。
 1987年には田中裕子・主演で再映画化されましたが、その時のセットを保存したのが「二十四の瞳映画村」です。そこには壺井栄文学館があり、小説「二十四の瞳」の生原稿(写真上)など貴重な資料が展示されています。小豆島町田浦には岬の分教場(写真右)が現存しています。
 なお、地元では「二十四の瞳」の歌(作詞:丘灯至夫、作曲:戸塚三博、唄:二代目コロムビア・ローズ、1965年)が今も歌い継がれています。哀愁漂う名曲です。
 壺井栄は児童憲章制定会議の一人でした。児童憲章は「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境の中で育てられる。」と宣言しています。
「しつけのつもり」?
 東京都目黒区や千葉県野田市で児童虐待から子どもを死亡させる事件が起きました。いずれも、保護者は「しつけのつもりで殺すつもりはなかった」と語っています。
 「体罰もしつけ」と考えている人は少なくありません。2012年に大阪の男子高校生が部活で体罰を受けて自殺した事件をきっかけに、体罰と子どもの人権に関心が高まりました。「体罰は、学校教育法で禁止されている、決して許されない行為」と文部科学省は指導を徹底していますが、部活で体罰は無くなっていません。どうしたらよいか分からない子どもたちには、どうすればよいかを教えてあげることが教育や指導ではないでしょうか。
 学校教育法では校長や教員に、民法では親権者に、それぞれ懲戒権を認めていますが暴力をふるってよいということではありません。「しつけ」と体罰、虐待などに対する法規制議論が行われています。一人一人が関心を持って子どもの人権について考えましょう。
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