2019年4月
人権マガジン
リニューアルした香川県人権啓発展示室
新しい人権情報、人権ゆかりの地など
主な人権ゆかりの史跡・施設
パネルで紹介されている主なもの
■旧観音寺町公会堂跡地(観音寺市琴弾公園内)
1924年、観音寺町公会堂で香川県水平社結成大会が開催され、県内で水平社運動が始まった。県水平社は米やみそなど生活必需品の共同購入に取組むとともに、学校での差別事件に対する抗議、祭礼や公営墓地への参入を求める運動などに取組んだ。展示室には道公会堂の棟瓦が保存展示されている。
■国立療養所大島青松園(高松市大島)
高松市沖に浮かぶ大島にある大島青松園。同園はハンセン病療養所として長い間患者や回復者を隔離してきたが、現在は回復者が老後生活を送っている。近年では人権学習のために同園を訪れる学生が増えている。展示室のハンセン病問題コーナーには、治療薬やハンセン病をテーマにした映画「砂の器」のポスターも展示されている。
■人に優しいJR高松駅(高松市)
ユニバーサルデザインを多用して障害のある人もない人も、高齢者も小さな子どもも、誰もが安全に利用しやすいように「合理的配慮」が随所にみられる。改札口は誰もが通りやすいように広い。目が不自由な人には音声で駅やタクシー乗り場の方向を案内する。
■県立社会福祉総合センター(高松市)
特殊なキットを装着して高齢者疑似体験をしたり、最新の介護機器の体験ができる。
主なゆかりの人物
■保井コノ(1880~1971)
保井は男尊女卑の時代に日本初の女性博士となった。県東部三本松(現東かがわ市)出身。南原繁や笠置シヅ子も同郷。戦前まで学校教育は男女別、中学校の受験資格は男子のみだった。女性が進学した女学校や師範学校では「女は育児と炊事、洗濯など家事をこなすべし」という「良妻賢母」教育を行っていた。「女のくせに」と言われながら学問の道を進んだコノは、いじめや差別に屈せず植物研究を極め、1927年に理学博士となった。
■宮武外骨(1867~1955)
宮武は水平社設立以前から部落差別問題に取組んだジャーナリスト。現綾川町出身。『滑稽(こっけい)新聞』で警察の汚職をスクープするなど「権力に屈せず過激にして愛嬌あり」と人気を呼んだ。部落問題誌『新平民雑誌』を自費出版し、「部落差別を禁ずる法律を作るべき」「差別を見たらやめさせる行動が必要」など水平社以前から部落問題を論じた。関東大震災では雑誌『震災画報』を創刊して朝鮮人虐殺を告発した。綾川町生涯学習センターには宮武外骨コーナーがある。