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2019年3月

人権マガジン

人権尊重ができる従業員を育てよう

人権尊重の企業には魅力がある

企業と人権問題

 企業活動は様々なステークホルダー(利害関係者)との上に営まれている。人と人の間で起きるのが人権問題。人権を尊重する企業では従業員が働きやすく、生産性が上がる。そして、顧客などからの社会的評価も高まる。そのため、多くの企業がCSR活動(社会的責任を果たす活動)として「人権尊重の事業所づくり」に取組んでいる。県内の具体的な取組みを見てみよう。

①A社(銀行)

A社のCSR
1 顧客の満足 2 地域社会の満足 3 株主の満足  4 従業員の満足
最良のサービス提供、人
に優しい店舗づくりなど
地域貢献活動、環境保全
活動、社会福祉活動など
安定配当、株主還元の充実、コ
ミュニケーションの充実など
公正な採用や人事、研修の
充実、健康管理など
 
 倫理規定に人権尊重を明記し、顧客・地域社会・株主・従業員の満足を目指している。店舗には障害者や高齢者専用駐車場、多目的トイレ、「耳マーク」や「杖ホルダー」、高齢者や障害者・妊婦用の「優先座席」などを設置している。ATMは音声ガイドの操作スピードを調節することもできる。また、顧客の高齢化に対応して、認知症研修を受けた従業員を各支店に配置している。
 社内研修もかつては接客マナーなどの座学が中心だったが、最近は高齢者疑似体験などを重視した参加体験型研修に改めている。

②B社(タクシー)

 従業員用研修テキストを自社で製作。タクシー事業の社会的役割、営業ポイント、営業心得などに続いて「人権問題・差別問題」のページがある。「避けたい言葉」という項目では「何気なく使った言葉でも、当事者にとっては、耐え難い屈辱を与えることがある」として、「心身障害に関する言葉」「門地等に関する言葉」「職業に関する言葉」「人種、国情、生活区域に関する言葉」を取上げて、不適切な言葉と人権に配慮した言葉の対比を示し、乗客の人権を尊重した会話をするよう教育している。

③C社(不動産)

香川県宅地建物取引業協会 倫理規定
(人権尊重)
第4条 会員は、住生活の向上等に寄与するという重要な社会的責務を担っていることを常に自覚し、人権を尊重し、人権を侵害することのないように努めなければならない。
 県内の不動産業界では、▽物件が同和地区かどうかなど差別につながる調査をしない▽賃貸住宅の入居申込書から本籍欄を削除する▽高齢者や障害者、外国人などを理由に不当な入居拒否をしないなど、居住・移転の自由を尊重するように研修や啓発に取組んでいる。
 なお、国土交通省は、「同和地区、在日外国人、障害者、高齢者等をめぐる人権問題に対する意識の向上を図るため不動産業界として不断の努力が求められる」との通達を出している。(平成29年9月14日付)

④D社(石油)

 「ここだけの話やけど」と同僚や家族、友人などに業務で知った個人情報を漏洩するケースが後を絶たない。D社では就業規則で業務上知った個人情報を不特定多数の前で公言しないことなどを明記し、顧客のプライバシー保護に努めている。
●情報の適正な管理●
〇情報の適切なセキュリティー管理
  不特定多数の人がいる場所で個人情報・会社の機密情報について不用意に話をしたり、書類・資料等を広
 げるなどの行為はしません。
 

⑤E社(運輸)

 LGBTへの理解を訴える広告を電車の車体に掲載した。乗客の中にいる当事者への配慮と社会啓発というCSR活動の一環と言える。

⑥その他

 多くの事業所でセクハラやパワハラ、いじめなどの防止について従業員研修や顧客への啓発が行われている。
不断の取組みが必要
 前述のA社では先般、取引先との懇談会の席上でセクハラ事件が発生し、会社トップが辞任した。いつ誰が人権侵害の加害者に、あるいは被害者になるか分からないとの前提にたち、不断に人権尊重の取組みを進めることが必要である。取組みをしていれば自然に人権問題が解決されると考えるべきではない。
特定非営利活動法人香川人権研究所
〒763-0092
香川県丸亀市川西町南715-1
TEL.0877-58-6868
FAX.0877-28-1011
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