2019年2月
人権マガジン
部落差別被害の実態報告書 当事者の被差別体験を聞き取り(その2)
昨年の「人権マガジン」12月に続いて続編を掲載します。
日頃生活の中で起きている部落差別を助長する言動ー。これらを研修や啓発で取り上げ、見て見ぬふりをせずに一人一人がしっかり対応するよう「人権尊重の実践力」を高めたいものです。
①60代男性
社用車を運転していた同僚が同和地区の近くに車が差し掛かった時、「○○さ
ん、この近くで事故を起こしたら大変、一生たかられる」と言った。
②30代男性
社長が、米子市出身の社員に「米子の方にも進出したいと思うが、△△という
住所の近くに同和地区はあるか」と聞いてきた。
③40代女性:2007年頃
新たな職場で働き始めたころ、職場の同僚に自分の出生地と嫁ぎ先を聞かれ、
答えたら「よく、そんなところに行ったな」と言われた。相手は差別だと思って
いないと思う。
④40代女性:2011年頃
職場の同僚に、町名と名前を聞かれて答えたら「あそこか」と言われた。言い
方に傷ついた。
⑤50代女性:2015年頃
職場で人権研修があったとき「部落差別なんて教えるから差別してしまう」と
同僚が発言した。何のために研修しているか分からないと思った。
⑥50代女性:2012年
公共の福祉施設で車いすを押して歩いていたら、横から「あんたは、どこの人
だ?」と聞いてきたので答え通り過ぎたら別の人が「ありゃ、部落のもんだが」
と、その人に告げていた。発言したのは公共施設職員で、悔しかった。
⑦50代女性:2007年
タクシーに乗った。すると、タクシーの運転手さんが「ここら辺は、危ないと
ころだからやめといたほうがいい」と言ったので、その意味を尋ねたら「部落だ
から」と言った。「私たちも部落だけど…」と言うと、運転手さんはきまり悪そ
うにしていた。
⑧30代男性:2015年
ある会社の社長が、部落に対して差別的な発言があったので、自分が部落出身
であるとは言えないと思った。
教育現場での差別
①30代女性:2011年頃
小学校の人権研修の帰り、ある保護者に「部落はイメージが悪い」と言われて絶句
してしまった。自分は今、子どもと地区外に住んでいる。言い返せなかったことを後
悔しているが、どういっていいのかわからなかった。
②30代女性:2005年
大学で教育実習の打ち合わせが終わって、雑談をしている時のこと。「うちの実家
ぎりぎりこっちやねん。大阪(部落が)めっちゃ多いねん」と笑いながら言った。教
育を志す子までこんなことを言うのかと思い、絶対自分の出身を言わないと心に決め
た。
③10代女性:2017年
高校の後輩と先輩がツイッター上でのやり取り。先輩が「人権部に入って部長すれ
ばいいが。そこだったらなれるだろう」と言い「それいいっすね」「俺以外に部員が
いないんじゃないですか?」「いいね」とやり取りしていた。
人権部や人権の取り組みに対して偏見を持ち、おちょくった出来事であった。他の
部より劣った見方をされていると感じ、気分が悪くなった。今も心に引っかかってい
る。