本文へ移動

2018年3月

 研究所だより

3 月の人権ダイアリー この日なんの日

3月2日 「北海道旧土人保護法」を公布(1899年)

 明治政府による「北海道開拓」という同化政策によってアイヌの人たちが困窮した。救済のために政府は「北海道旧土人保護法」を制定した。アイヌの人たちに土地を付与して農業を奨励し医療、生活扶助、教育などの保護対策を行うことをめざしたが、和人移住者に大量の土地配分することが優先されるなどして効果は上がらなかった。
 1997年の「アイヌ文化の振興」施行に伴い同法は廃止された。先住民族の権利に関する国連宣言(2007年)は植民地政策(同化政策)を誤りとし、同意なく没収した土地や領土・資源などを返還させることなどを宣言している。

3月3日 全国水平社、創立大会(1922年)

 「差別する側に問題がある」との佐野学論文「特殊部落民解放論」を読んだ奈良の若者たちが1922年3月3日、京都岡崎公会堂で全国水平社を創立した。

 公然と部落差別に対抗する団体が生まれ、部落差別に苦しむ人たちの明るい光がともり、生きる希望が生まれた。

 全国水平社は差別者糾弾(きゅうだん)運動を展開した。糾弾とは差別をした人に不当性やつらさ、怒りを分かってもらうこと。水平社は新聞への謝罪広告や啓発後援会の開催を求めた。

3月12日 財田川事件、冤罪確定(1984年)

 1950年に香川県財田村で起きた財田川事件では無実の青年が逮捕され、死刑が確定した。「不良だから」との風評が冤罪につながった。矢野伊吉判事は退職後も弁護士として青年の救済に尽力、さらに白鳥事件も追い風となって再審が実現、1984年3月12日に高松地裁は青年に再審無罪判決を出した。

3月25日 保井コノ、日本初の女性博士に(1927年)

 保井コノは1880年に三本松(現東かがわ市)に生まれ、日本初の女性博士になった。女は育児・炊事・洗濯など家事に専念するという「良妻賢母教育」が行われる男尊女卑の当時にコノは男の領域とされた学問の道を進み、至るところで男性から差別といじめを受けた。物理の教科書を執筆すると文部省検定官(男性)から「女に書けるはずがない」と侮辱され、不合格とされた。留学を申請すると「将来家庭に入るので国費留学は税金の無駄づかい」と却下されたが、2年後に「家事育児」を研究目的に追加して許可が下りた。生涯独身で研究に専念するとの念書をとられた。しかし、保井は植物研究にはげみ1927年、長年の研究実績を東大に認められて理学博士号を授与された。こうして女性博士の道が開かれた。

3月26日 香川県部落差別防止条例を公布(1996年)

 「香川県部落差別事象の発生防止に関する条例」は、結婚と就職に際して県民及び県内事業者は特定個人について①部落関係者かどうか身元調査の禁止②興信所などへの調査依頼禁止③興信所などの調査受託禁止④資料提供など協力の禁止⑤その他部落差別につながる行為の禁止、を定めている。県政世論調査では認知度は2割程度で、条例が効果を上げているとは言えない。県の積極的な啓発活動が急がれる。

3月の活動(主なもの)

16日
多度津町職員研修会
20日
島根県竹矢公民館研修会
21日
理事会/部落差別解消推進法具体化研究会
22日
香川県女性子ども相談センター取材
24日
西予市人権研修会/東かがわ市人権擁護審議会
特定非営利活動法人香川人権研究所
〒763-0092
香川県丸亀市川西町南715-1
TEL.0877-58-6868
FAX.0877-28-1011
TOPへ戻る