2017年12月

部落差別解消へ県内の取組みその2

前回に続き、部落差別の解消に向けた県内の取り組みを紹介します。

就職や進学等の支援

公正な採用の推進

香川県人権・同和教育進路促進委員会(香川県・県教育委員会・香川労働局など)は、採用面接で差別につながるおそれのある質問をしないこと、適性に基づく公正な選考採用を推進すること、を事業所に求めています。
香川労働局では好ましい質問事例を紹介し、応募者の適性を引き出す質問マニュアル作りを呼びかけています。
<差別につながるおそれがある質問>
  1. 適性と無関係な質問(本籍、続柄、家族の地位・収入、家族の資産、住宅の状況)
  2. 本人の自由にかかわる質問(信仰・宗教、支持政党、生活信条、尊敬する人物、思想)
  3. 憲法で保障された権利にかかわる質問(家族の職業や学歴)
  4. 差別につながりやすい質問(生い立ちなど)。
 
<好ましい質問例>
  1. 導入部(受験者の緊張をほぐす)・・・「何時ごろ起きましたか」「趣味は何ですか」など
  2. 本質問(適性・能力などを見る)・・・「なぜ当社を希望しましたか」「自分の長所は何ですか」「どんな仕事をしてみたいですか」など
  3. 情報交換(本人の意思を確認する)・・・「職務内容や勤務形態、賃金はどうですか」など
 

企業の取り組み

企業の社会的責任と同和問題

1975 年に全国の同和地区の地名、住所、職業などを記載した差別図書『部落地名総鑑』を企業が購入し、採用の参考にしていたことが発覚しました。有名企業も多く含まれていたことから、大きな社会問題になりました。この事件を契機に、採用差別をなくすために現在の公正採用選考人権啓発推進員(「推進員」)制度がスタートしました。
同和問題の解決が国民的課題とされたことから、公正採用を推進して同和関係者の雇用機会を保障することが部落問題を解決するうえで企業の社会的責任と自覚されるようになりました。
<企業の取り組み>
  1. 推進員活動・・・県内では50 人以上の事業所に推進員を設置し、公正採用の推進、労働局による研修会への参加、従業員への人権・同和研修などに取り組んでいます。
  2. 香川人権啓発企業連絡会・・・運動団体などと連携して研修活動などに取り組んでいます。
 

宅地建物取引で差別しない

土地などの不動産取引物件が同和地区にあるかどうか調査することは部落差別を助長するおそれがあり、同和問題の解決に向けた社会の取り組みに逆行する「土地差別」と言わなければなりません。
「慣習」とか「お客さんからの要望」との誤解があり、香川県宅地建物取引業協会では土地差別調査をしないように会員研修や顧客啓発に努めています。
また、居住権尊重の観点から、賃貸住宅の申込では外国人や高齢者、障害者、一人親家庭などを理由に拒否することは「入居差別」になるとして、その解消にも取り組んでいます。
質問 回答
1 取引物件が同和地区かどうか質問されたことがある 36%
2 同和地区だろうとなかろうと、ありのまま伝えなければならない 86%
 

県民運動

人権意識を高める

県民総参加の啓発活動をめざす香川県人権啓発推進会議は、テレビCMやポスター掲示などのほか、8月の同和問題啓発強調月間には街頭キャンペーンなどを、12月の人権週間には県民参加型の啓発イベント「じんけんRDF フェスタ」などを開催しています。
また、インターネット上での差別を助長するおそれのある書き込みを監視し、不適切な書き込みは掲示板管理人等に削除を求めています。
<同和問題への理解を深めよう>
「香川県県政世論調査(2014 年)」では、同和問題を解決するためは「同和問題だけでなく人権全般の意識を高める」が61%、しかし「差別はなくならない」(21%)、「そっとしておけば自然になくなる」(15%)との回答もあり、今後も継続して同和啓発を推進する必要があります。

えせ同和行為の排除

電話で同和関係者を名乗って高額図書を押し売りしたり入札を強要するなどの不当要求―「えせ同和行為」が起きています。
背景には、加害者にも被害者にも「同和問題はこわい問題」との誤解があり、そこがつけこまれています。法務省などは、「えせ同和行為はこれまでの啓発効果を一挙に覆し同和問題に対する誤った意識を植えつける大きな原因となっている」、として毅然と断るように呼びかけています。
<対応>(同和団体を名乗る電話による高額図書押売りの場合)
  1. 必要のないものは買わない・・・「いりません」と断って電話をきります。
  2. 注文もしない図書などを送り付けるのは違法・・・受取拒否して業者に持ち帰ってもらいます。
  3. 電話で「買う」と約束してもクーリングオフ制度で撤回・・・はがきなどで「○年○月○日に買うと約束した図書の契約を解除します。○年○月○日、住所、氏名」と書いて内容証明で出します。
 
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