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今月の瓦版 (2010年12月)

憲法と人権 「のみ」の話

「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立・・・」(第24条)

(写真は1960年ごろ琴平町を訪れた松本。右側)
日本国憲法に「のみ」がついている。痒くなった方には失礼。
 水平社委員長だった松本治一郎は「のみ」にこだわった。1933年6月《結婚の際、部落出身を隠したのは罪に当たる》として高松地裁は部落青年二人に誘拐罪を適用した。松本は判決撤回運動の責任者として全力を尽くした。警察と裁判所の数人が退職や左遷等の処分を受け、裁判所へ再発防止の通知が出た。二人は仮出獄したが、判決は撤回されないまま太平洋戦争に突入し、全国水平社も自然消滅した。(写真は1960年ごろ琴平町を訪れた松本。右側)
 
 戦後、新憲法草案が作られる際、高松事件の再発(結婚差別)防止を願う松本は、部落問題を解決できる条文を新憲法に盛り込むようGHQなど関係者へ働きかけた。帝国憲法下では家と家の結びつきだったから、結婚では家柄の釣り合いが求められた。だが、戦後の新憲法は基本的人権の尊重をうたい、結婚は家柄などに拘束されず当事者同士の愛情によってのみ成立することになった。
 出自(出身)や家柄などを理由にした結婚差別は今もあるが、「のみ」の二文字は愛情を貫こうとする者に大きな勇気を与えている。
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