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皮と革の話


西御着総合センター「皮革資料室」


 姫路市立西御着総合センターの二階にある「皮革資料室」を2016年9月7日、香川人権研究所の26人がフィールドワークで訪れた。ここには、様々な皮革製品や牛馬の原皮、皮なめしの道具など貴重な資料が展示されている。
 柏葉嘉徳さん(皮革研究家・写真下)が皮革の歴史や姫路独特の「白なめし」技法などを説明してくれた。


皮と革の話−柏葉嘉徳さん


 「瀬」は<歩いて渡れるところ>を意味する。瀬に杭(くい)を打ち、皮をそれにかけて水中に浸けておく。二週間ぐらいすると、水中のバクテリアによって毛が抜ける状態になる。毛を抜いて裏をカンナで削って漉(す)く、そして塩漬けにする。柔らかくなると天日で干し、半乾きになったら裏表に菜種油を塗る。それを踏んだり揉(も)んだり何十回となく繰り返して革にしていく。塩と菜種油だけで革を作る。それが姫路独特の「白なめし革」である。ただ一人の継承者・森本さんがなくなり、現在はホルマリンでやっているが、これなら一晩で簡単にできる。
 先日、イギリスの皮革研究者から「自分たちも白なめしを作りたい」と言われたが、無理だと答えた。水質が違うからだ。姫路城の東を流れる市川(いちかわ)の水を使わないと白なめしはできない。兵庫県たつの市も皮革の本場だが、そこを流れる揖保(いぼ)川の水では白くならない。黒田官兵衛が姫路高木地区の職人を九州へ連れて行ったが、白く仕上がらなかった。市川の水に含まれる微量のミョウバンの作用で白くなると言われている。イギリスでは中世時代、羊やヤギの革を白くしてお触れなどを書いたが、これはアルミニウムなめしだった。アルミニウムとミョウバンは成分がよく似ている。クロムなめしに含まれる三価クロムは加熱されると猛毒の六価クロムに変化する。タンニンを使った無公害なめし加工のものを「エコレザー」と呼ぶ。クロムなめしは革の切り口が青くなる。
 なめしに一番大切な要素は塩と水である。市川の水は硬水だから高木のものは柔らかくきれいに仕上がる。
 剥いだ牛の皮は塩漬けにする。塩漬けは腐敗防止作用もあるが、血抜き作用もある。静脈や動脈の血はサッと抜けるが、毛細血管内の血はなかなか抜けない。塩をまぶすと毛細血管内の血が抜けて革の仕上がりがよくなる。血が残っていると革にシミが付いたようになる。完全に血を抜かなければならない。
 「鞄」と書いて「カバン」と読む。1874(明治7)年に谷澤偵三(たにざわていぞう)氏が西洋のカバンをまねた製品を作った。どういう名前にしようかと考えた結果、「鞄」と書いて「カバン」と読ませることにしたという。イギリスではカバンに使う革を「ボックス革」という。黒いカバンは乾燥させた革に黒の塗料と卵の白身、さらに牛の血を混ぜて塗り、さらに乾燥させて仕上げる。日本ではもう行われていないが、イギリスでは今も続いている技法である。イタリアのカバンには彫刻が入った豪華なものもある。
 日本では革に見せかけた紙の箱があった。平賀源内が考案したといわれている。当時、皮一枚、つまり牛一頭分の原皮の価格は一両だった。一般の庶民は高くて買えなかったから紙を使って革のようにしたのが「疑似革」だった。


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