TOPページ
研究所だより
人権マガジン
香川人権研究所概要・組織
事業内容
行事予定
書籍(新刊図書ご案内)
会員募集
リンク
香川の人権ニュース
センターご案内
ちいさな人権博物館
人権マップ

人権マガジン

バックナンバーはこちら >>


見て見ぬふり21% 差別言動への態度

 「同和問題」とか「部落差別」を知っている人に、どんなことを見聞したかたずねたところ、結婚問題が62%で最も多かった(複数回答)。身元調査も37%あり、結婚問題と身元調査が関連していることがうかがえる。結婚や就職の際、同和関係者かどうか身元調査することを禁じた県条例があるが8割以上の県民が知らず、これも問題解決を遅らせている一因となっている。


香川県民の人権意識

【質問】 同和問題に関して、あなたは、これまで、どのような差別を見聞きしたことがありますか。次の中から3つまで選んでください。

同和問題に関する差別の見聞(単位%、カッコ内は前回調査)
 結婚問題 62.0(64.4)
 差別言動 38.0(41.8)
 身元調査 37.4(39.3)
 土地差別調査 19.4(―)
 就職・職場での差別 15.1(21.2)
 地域活動や付合い 14.2(19.7)
 インターネットの差別情報 5.4(5.7)
 差別落書き 5.2(5.2)
 その他 2.0(1.5)
 特に起きていない 9.6(7.7)
 わからない 6.0(4.0)

知らないふりも差別です

【調査結果】 1位は「結婚問題での周囲の反対」62.0%、2位は「差別的な言動」38.0%、3位は「身元調査を実施すること」37.4%、4位は「土地差別調査を実施すること」など。部落差別があることを知っていても、「特に起きているとは思わない」が約1割ある。
 5年前の前回調査と比較すると、ほとんどの項目が減少しているが、「特に起きているとは思わない」と「わからない」はともに約2ポイント増えている。

【コメント】 結婚問題が最多で第2位と約24ポイントの差がある。「身元調査を実施すること」が4割近くあることもあわせて考えると、いぜんとして結婚問題は同和問題(部落差別)を解決するうえで最大の課題といわなければならない。「住宅や地域の環境改善、就労や進学の取組みも進み、結婚問題が解決すれば同和問題はほぼ解決に進むのではないか」との声は多い。
 結婚差別の解消に向け、県内でも様々な取り組みが行われている。その一つに県条例(香川県部落差別事象の発生の防止に関する条例)がある。条例は県民及び県内事業者に対して、結婚と就職の際に同和関係者かどうか身元調査することを禁止している。条例は1996年に制定されたが、今なお認知度は2割弱しかない(県政世論調査2014年)。
 認知度が低い背景には「問合せ」や「聞き合わせ」などの慣習が横たわっている。「身元をあきらかにするのは当然」「明らかにしないのは相手に失礼」「差別など考えていない」「問題がないから聞かれてもよい」などの声がよく聞かれる。『香川の冠婚葬祭』(四国新聞社刊)では、「香川県のお見合いの資料の書き方」として「香川県では『家族書』の最後に必ず母親の里の住所と世帯主の氏名を書くのがしきたりです」(同書19ページ)とある。
 戦前までは家制度の意識の下、○○家と○○家の結婚という結婚観だったから、家の格式や家柄など両家のバランスを重視した。戦前までは地区と地区外の結婚はほとんど少なく、1922年当時の通婚率は3%だった(内務省社会局「部落改善の概況」)。だが戦後の憲法では「婚姻は両性の合意のみによって成立する」(第24条)と変わり、家柄や社会的身分などとは関係なく当事者同士の合意のみとされた。したがって、今なお出自や家柄などの属性を調査したうえで結婚の可否を決めることは差別になる。だが、問い合わせや聞き合わせが続いている。一部は確信犯的であるが、「理由は知らないが慣習だから」とか、「周りがしているから」などのケースも多い。前者の場合は条例等による社会的規制が行われているが、後者の場合は教育・啓発活動の対象である。学校教育で条例を取り上げ、「結婚は当事者どうしの合意によってのみ成立する」「採用は本人の意欲や能力によって決定される」ことを伝えるとともに、保護者啓発も積み上げていけば認知度は毎年確実に上がるはずである。また申出制度を知る県民はほとんどいないので、条例違反があれば県に申し出るように周知することも条例を生かすために不可欠である。
 「身元調査おことわり」のステッカー貼りを10年以上続けて成果を上げている自治体もあるが、県内ではほとんどなく、行政の積極的な取り組みを求める関係者は多い。


知らないふりも差別です

 結婚しても「縁切り」や「反対したら騒がれるから」と祝福されないケース、離婚するケースもある。一方、約54%が地区外と結婚し、若い世代ほどその割合が高い。夫年令25歳以下は約9割である(「平成12年度香川県同和地区実態把握調査報告書」)。1922年の3%と比較すれば大きな変化である。当事者のご苦労、行政や教育の取組みなどによって差別を乗り越えるケースが増えている。差別の厳しさのみを強調するのでなく、解決に向けた取り組みの状況や展望を教育・啓発で発信することが重要である。人権活動はしあわせづくりである。

(香川人権研究所)

ページ上へ




香川人権研究所map