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書院造と室町文化
 従来の「定説」が見直され、新しい「部落史」が見えてきた。現在の教科書は江戸時代に幕府が差別された身分を作ったという従来説と異なり、江戸時代以前に身分上差別される人たちがいて、庭造りなどで活躍していたことを紹介している。
書院造と室町文化
 銀閣のとなりの東求堂の中には当時の新しい部屋のつくりが見られ,付け書院や違い棚が設けられています。また,床はたたみがしきつめられ,板戸ではなく,障子やふすまで仕切られています。こうしたつくりを書院造といい,現在の和室のつくりに受けつがれています。庭園にもくふうがこらされ,庭づくりには、身分のうえで差別されていた人たちが活やくしました。(東京書籍「新しい社会6上」58頁より)


 室町時代、政治や文化の中心地だった京都では素晴らしい庭がたくさん造られた。庭造りに当たったのは「河原者」(かわらもの)と呼ばれる人たちで、彼らは大地に刃をふるい自然をたくみに作り変えて庭を造った。このような行為は「大地の神のたたり」を引き起こすと信じていた当時の人々は、彼らのことを「神のいかり」(けがれ)を振り払う特別な能力(きよめ)を持つ人として畏敬の念を持つ一方、「神のいかり」にふれた人として忌避する気持ちも持っていた。このような意識が中世の差別と考えられている。他にも神社境内の清掃や祭事の先導役に従事する人たちに対しても人々は同じ視線をもっていた。今はけがれといえば「汚れ」のことを意味するが、中世の「けがれ」は「神のいかり」を表す全く異なる意味だった。

従来は、江戸時代に徳川幕府が「士農工商」の身分制度を作り、差別される身分が作られたとされてきた(「近世政治起源説」)。近年社会史や文化史などの歴史研究が進み、1990年代には従来の考え方に変更を迫る議論が広がった(「部落史の見直し」)。その結果、@差別の起源は江戸時代以前であるA差別された人たちは当時の社会で重要な役割を果たしていたB差別された人は貧困ではなくむしろ経済力があった、などの事実が明らかになった。見直しを反映して、学校の教科書は2002年度から新たな観点で書かれるようになった。

@「士農工商」とは、本来「天下の全ての仕事」と言う意味の熟語で、職業の上下関係を示す言葉ではない。
A江戸時代の身分はそれぞれ居住地によって編成され、町人とは商人や職人など町中に住む人々のことで、百姓とは農村部に住む人々のことである。
B町人や百姓以外の人々の中には「別火」(火を一緒に使わない)、「別器」(飲食の際、器を別にする)、「別食」(食事を共にしない)などの差別を受ける人々がいた。中世以来、「別火」「別器」「別食」などのしきたりは異能性を保持するためだったが、江戸時代になると忘れ去られて逆に差別意識を強めるしきたりに変わった。

 差別を受けた人々は近世、次のような生業で社会生活を支えていた。
@祝福芸能・・・門付け芸(デコ廻し、猿回しなど)
A死牛馬の処理・・・病気で死んだ牛や馬(斃牛馬)の処理(きよめ)
B皮革産業・・・なめし、セッタづくり、太鼓づくり、鎧づくり、肥料作りなど。皮革加工技術は今も野球グローブ作り等に活きています。
C膠(にかわ)・・・膠づくり、習字の墨(すみ)づくりなど
D手工芸・・・竹細工や染色など
E運輸・・・渡し守、水夫、駕籠カキ、馬借など
F治安維持・・・警護、犯人逮捕、防火など
G医療・・・医者、製薬、売薬、馬医者など
 様々な仕事で文化や産業など社会生活を支え、豊かな経済力を持っていたことを現在の学校教育では取り上げている。

 腑分け(ふわけ・解剖のこと)に従事していた人たちが『解体新書』翻訳のきっかけとなったことを教科書では次のように紹介している。
◆医学を支えた人々
 玄白があらわした「蘭学事始」という本には,「解体新書」をほん訳した苦心と,人体の解剖を初めて見たときの感動が記されています。玄白は,解剖を見学したとき,見比べていたオランダ語の解剖図が正確にかかれているのにおどろいた,と書き残しています。また,このとき解剖をして内臓の説明をした人は,身分制度のもとで百姓や町人とは別に厳しく差別されてきた人でした。このような人が,すぐれた解剖の技術を生かして,このころの医学を支えていました。(東京書籍「新しい社会6上」94頁より)


同和問題は決して他人事ではない。誰もが出自などにとらわれず、幸せに暮らせる社会をつくるために、同和問題の解決は不可欠である。その一助として新しい部落史観を紹介した。これは貧困説と結びついた従来説と大きく異なり、プラスイメージにつながるものである。正しい理解を進めるために以上の内容が9枚組パネルになっている。パネル貸し出しは無料、申込みは香川人権研究所0877-58-6868まで。


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